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[イベントレジストご利用事例] 株式会社日本経済新聞社/FIN/SUM2021:Fintech Summit(フィンサム)

作成者: EventRegist マーケティングチーム|21/05/21 7:38

株式会社日本経済新聞社と金融庁が共催する日本最大級のフィンテックカンファレンス『FIN/SUM2021:Fintech Summit(フィンサム)』が、2021年3月16日~18日の3日間に渡り、ハイブリッド形式で開催されました。
当イベントのプラットフォームとして「EventRegist-enavle(エネイブル)」を、ビジネスマッチングプラットフォームとして「Jublia(ジュブリア)」を導入いただきましたので、株式会社日本経済新聞社 メディアビジネス イベント・企画ユニット シニアプロデューサーの柴山重久氏にお話を伺いました。

 

--- FIN/SUM2021:Fintech Summit開催の目的を教えてください。

FIN/SUMは2016年に第1回を開催して以来、国内外の金融・企業・政府・大学・スタートアップのリーダーが金融政策のあり方やフィンテックの潜在力などについて活発に議論し、新たなビジネスの創造をめざして連携するプラットフォームとして広く認知されてきました。
“Fintech”というものがかなり普及してきたこともあり、年に一回金融庁と共催で開催し、今回が5回目になります。テーマは、Fintechそのものの他には、ブロックチェーン、中央銀行デジタル通貨(CBDC)や資金調達法STO(Security Token Offering)などを網羅しています。

今回は、新型コロナウイルスの影響で、開催方法を今までとはかなり変える必要が生じました。
前回はコロナ禍の前の2019年9月にリアル開催し、その後2020年3月にはスピンオフイベントを開催予定でしたが、その時にまさにコロナ禍の影響を受け、リアル会場では定員数を削減し、さらにオンライン配信も行う方針に変わりました。

スピンオフイベントは5ヶ月延期となり、2020年8月にリアル+オンラインのハイブリッド形式で行い、例年9月に行っていたFIN/SUMも延期となり、半年遅れの2021年3月の開催となりました。コロナ禍がまったく終息しないため、引き続きオンライン配信も必要ということで、FIN/SUM2021もハイブリッド開催という形をとりました。おかげさまで、オンラインでも多くの方に参加していただき盛況を博しました。ハイブリッド開催として成功したと感じています。

 

 

--- ハイブリッド開催にあたってご苦労されたことがあれば教えてください。

今回、並行して2つのプログラムをそれぞれ日本語/英語で走らせ、常に4チャンネルで開催しました。会場が増えるとそれだけ配信コストがかかりますし、実会場では、セッションが切り替わり人が入れ替わるたびに、消毒が必要となります。
ハイブリッド開催というのは、単にオンライン配信を追加すればいいということではなく、今まで行っていたリアルイベントと比べて、より手間もコストもかかりました。

【本イベントでの導入プラン】

 ■ オンラインイベントでのスポンサーシップの投資対効果を見える化する 
   EventRegist-enavle(エネイブル)

 ■ オンライン上で商談のアポイントが取れるビジネスマッチングプラットフォーム 
   Jublia(ジュブリア)

 

--- EventRegist-enavleの導入にいたった理由を教えて下さい。

2020年8月にオンライン開催したスピンオフイベントでは、配信ツールとしてYouTube Liveに別の配信システムを組み合わせました。オンラインで誰が見ているのかを把握するためにいろいろ試しましたが、YouTubeではその時々の視聴者数しかわからず、その仕組みでは入った時点と出た時点(視聴開始と終了)しかデータが取れなかったので、誰がどのセッションを見たかという細かい情報を把握できず困っていました。

オンラインイベントでは、どれだけ視聴者のデータが取れるかが重要です。会場で名刺交換出来ない状況で、オンラインでどのように置き換えていけるか課題を感じていたところ、イベントレジストのプレスリリースで「enavle」という新サービスを拝見しました。早速ご相談したところ、まだ日本では導入例はないが、海外ではアジアでも導入例があり、どのような視聴者データががとれるかという説明を受けました。今まで他のイベントでもイベントレジストの機能を使っていましたので、enavleを連携することで視聴者データがかなり細かく取れるのであれば、もしかしたらうまくいくかもしれないと感じました。日本で最初に導入することや他の要件もあり、色々と解決すべき課題はありましたが、詳細な視聴者データが取れる点がいちばんの決め手です。

もう一点は、配信画面に付加価値を付けられることです。以前、Fintech協会のイベントに視聴者として参加した際、他社の配信ツールが導入されており、視聴画面を見ながら他の情報も確認できる機能を体験しました。視聴者が、今自分は何を見ているのか、セッションやスピーカーについて知りたいと思ったときに、たとえば今まで利用してきたYouTubeでの配信では、主催者がコメント欄に登壇者のホームページのリンクを貼っておき、視聴者はそれを別のウィンドウを開いて確認することになりますが、その他社ツールを利用した際に、その問題が解消できると感じていました。

enavleでも同様に、視聴画面の横にいろいろな情報を設置することができ、視聴しながら同時にプログラムを確認することができたり、上下のティッカーにスポンサー情報や参加者へのお知らせを流したりできる点が、ただ配信するだけではなく付加価値を高められるという意味で、決め手のひとつとなりました。


【EventRegist-enavleの視聴画面イメージ】

 

--- 実際に「EventRegist-enavle」を使ってみていかがでしたか?

いちばん重要な視聴者データの点においては、期待した通りのデータがとれました。当初は3,000人の想定で見積りをいただきましたが、蓋を開けてみれば5,700人。この全ての視聴者 データが取れたので、この点は非常に評価しています。

配信画面の付加価値については、正直なところ、まだまだ改良の余地があると感じています。配信画面の右枠(イベントガイド)に、プログラムや登壇者情報のボタンを設置することができますが、それを開くと登録した全プログラム、全登壇者が表示されますよね。ライブ配信で今話してる人は誰?プロフィールは何?という情報を見つけづらいので、配信に合わせた情報をピンポイントで表示できるよう改良されると使いやすいと思います。
プログラムについても同様で、4チャンネルで3日間配信する全プログラムが、1つのパターンでしか表示できませんでした。今見ているチャンネルの今日のプログラムを表示することができれば、視聴者にとってはもっと情報を探しやすいと思います。
イベントガイドをもっと便利に使えれば、視聴者をきちんとナビゲーションできるので、もったいない気がしましたね。

また、今回のイベントではコミュニケーション機能は重視していなかったので使いませんでしたが、イベントの内容によっては、チャット機能などを連携して、インタラクティブに質疑応答を行うことができるとよいと思います。
やはりオンラインでは集中力が続きづらいことと、会場ではセッション切り替えのタイミングで消毒が必要になりますので、以前は1時間で行っていたプログラムを50分に短縮しています。セッションが短いと、その分参加者とのコミュニケーションがとりづらくなると感じていますが、オンラインを重視するのであれば、そこも絶対に考える必要があると思っています。


--- enavleについて、参加者・スポンサー・運営に携わった方々からの感想や要望など、ご意見を聞かれていれば教えていただけますか。

スポンサーの方から、enavleの画面はきれいだねという声は聞いています。
今回はenavleにYouTubeを埋め込みましたが、配信スタッフからは、YouTubeだけで見るよりenavleに埋め込んだ画面のほうが、画質が落ちるんじゃないかという声もありました。この点は現場でもイベレジさんにお尋ねして、いろいろな視聴環境の方がいるので、安定させるためにあえて少し画質を落としているという回答をいただいて、納得しています。今後、視聴者側で画質を選択できる機能が追加されると、もっとよいと思います。
今までにない形での配信の仕組みという意味では、概ね評価されているなと感じました。

enavleの設定を担当したスタッフからは「慣れるまではなかなか難しく、何度か設定方法を問合せながら進めましたが、昨日はなかった機能が今日は追加されてどんどん新しくなっていったので、次回利用する時にはもっと便利な機能が追加されているのではないか」と期待する声もありました。

今回は定員が400人の会場で開催しましたが、セッションごとに視聴者データを見ると、多いものでは2,000を超えていました。昨年のスピンオフイベントと比べてもとてもアクセス数が多く、やはりこれからはオンラインイベントというのは切り離せないものだと感じています。

今後も検討を続けていく必要があるのは、お客様(視聴者)にどれだけ簡単に提供できるかということです。申込みの時に会員登録などの段階を踏んでいただいているので、視聴はできるだけ簡単に、使い勝手よく進めていきたいと思っています。
enavleと比較できるものは、先ほどお話しした他社の配信ツールしか利用経験がありませんが、そのツールでは、画面の下に情報を出す構成で、スクロールして下の方の情報を見ると配信画面がシュッと縮小して、情報を見ながら配信画面もチェックできる仕様でした。enavleでは視聴画面の右側に情報が表示される仕様ですが、視聴者にとって一番使いやすいのはどれか、という視点で考えたいところです。
オンラインイベントの見せ方というのは、これからもまだまだ研究の余地があるのではないかと思います。

 

--- ビジネスマッチングプラットフォーム「Jublia」の導入にいたった理由や、使ってみたご感想を教えていただけますか。

FIN/SUM共催の金融庁が、Fintechサポートデスクという相談・情報交換窓口を設置しているのですが、それと似たように、FIN/SUMのイベント内でも、参加者が金融庁に相談できる環境を作りたいという要望がありました。
また参加者からは、スタートアップ企業側からこういう人と話したいとか、大企業側からスタートアップ企業と会ってみたいなど、参加者同士が交流したいという希望があります。それらをどんどん実現してもらうために、マッチングシステムが必要でした。
自社で開催した他のイベント(Healthtech/SUM)でJubliaを導入した経験もあり、今回のFIN/SUMでも導入を決めました。

もうひとつは、イベント開催前後もJubliaを稼働させることで、たった3日間のイベントが、4週間のイベントになるということです。コミュニケーションがとれる環境を、イベント開催前後にも、ある程度長い期間にわたって提供できる点はよかったです。

実際運用するにあたっては、Jubliaの利用方法として、他の参加者を検索してミーティングを申込んだりチャットが行えることを、何度もご案内して利用を促進しました。
今回は、平日のみミーティングがセットできる設定で運用しましたが、ダッシュボードを見ると、イベントが終わったあとの土曜日にチャットを利用された方がいました。スタートアップ企業が参加されることを考えると、次回は、土日も夜もある程度開放しても良いのかなと思ったりもしています。

イベントレジストから申込みを行うときの質問事項が、そのままJubliaの検索項目になりますので、「fintechサポートデスクに相談したい」という項目を作ったことで金融庁の方にも喜んでいただけました。つまり、自分たちと話したい人を、自分たちで検索できるということです。そのように、予め検索項目を検討して設定したことで、主催者としてマッチングのアシストができました。

もうひとつよかったことは、マッチングが成立してミーティングを行うときに、Jubliaの中で自動的に部屋が用意されて会話できる点です。また比較になってしまいますが、以前に参加者として利用した他のシステムでは、マッチングしたときに自分でZoomのようなミーティングツールを用意する必要がありましたので、その点はJubliaが一歩進んでいると感じました。


※Jubliaにご興味のある方はこちらからお問い合わせください。

 

--- 「Jublia」の改善点やご要望についても教えていただけますか。

もともと海外のサービスですので、翻訳が不完全な部分が残っていたり、日本で馴染みのない通知機能を使っていたり、FAQが物足りなかったりと、改善点は多々あると思います。日本でサービスすることを想定して改修されると嬉しいです。今回は、事前にマニュアルを作って対応したので、ある程度困らずに対応できました。

まだまだ日本ではマッチングサービス自体に馴染みがなかったり、急に知らない人からお話ししたいと言われても、なかなか進んで受けられないという日本人の特徴もありますよね。Jublia利用者にアンケートを行うと「丁寧な断り方を教えてください」という質問もあり、日本人らしいと感じました。
日本でも不安なく利用していくには、たとえば、相手にはメールアドレスも他の情報も渡されず、チャットだけで簡単にマッチングが成立することや、まずはチャットでコンタクトを行い、チャットで盛り上がったらミーティングをセットすればよいことなど、そのあたりのナビゲーションがもう少しうまくできるとよいと思いました。
ただこれは、イベントの内容にもよります。見本市のような展示会なら、たくさん名刺を集めたい、たくさんコンタクトしたいという参加者が多いので、主催者側のナビゲーションがなくてもJubliaが活発に利用され、どんどんマッチングが成立するかもしれません。

とにかく慣れることが大切です。日本人はZoomのようなオンラインミーティングにはすでに慣れましたので、その面ではそれほどハードルは高くないと思います。マッチングサービスについても、これがイベントにつきものになれば、オンラインエチケットも理解して、もっと自然に活用できるのではないでしょうか。

いずれにしても、参加者が交流できる機能はなくてはならないと感じていますので、次のイベントでもJubliaの導入を検討したいと思っています。
ひとつ困った点としては、セキュリティが特に厳しい企業などで、Jubliaのミーティングツールが起動しないという問題がありました。企業で利用するとセキュリティ面でのハードルがありますので、ご自身でミーティング用のツールをご用意いただく他、スマホでもご利用いただける旨ご案内する形で対応できればと思っています。

 

 

--- 今後どのようなイベントを開催していきたいですか?イベント業界の現状、課題、今後の展望などお話しいただけますか。

どんな時でも会場でリアルでやるのがイベントだ!と強く言われる方もいますが、私はそればかりではないと思っています。新型コロナウィルスが世の中を大きく変えたことで、オンラインなら海外から来日してもらわなくても良いとなると、かなり偉い方にも登壇いただけます。今までになかったことができるようになりました。

また、我々はいつも日本橋か丸の内で開催していますが、地方からわざわざ来なくてもオンラインで視聴できるという便利さですね。リアル会場がいいという声は当然聞きます。リアルならではの盛り上がりもありますし、直に会って話を聞くことも非常に大切ではあるけれど、そのときに会場には来られない北海道の人を入れて一緒にオンラインで話し合いましょう、ということもできるわけです。これを始めた以上は、元には戻らないと思っています。
会場に来てお金を払った人しか見られません、ということよりも、やはりオンラインと一緒にハイブリッドで開催する形が定着するのではないかと思います。その中で、イベントのマネタイズも含めて考えていく必要があります。

もう一つはオンラインでの参加者意識をどう高めるか、ですね。Jubliaのような形での参加もありますが、実際のイベントへの参加意識を高めるには、ウェビナーツールで声を拾ったりして、もっとインタラクティブ性のあるものも必要かと思います。
リアルイベントでも、必ずしも質疑応答の時間があるわけではないので、イベントによって“インタラクティブ性”はいろいろ形が違うとは思いますが、リアル会場でできていたコミュニケーションを、どのようにオンラインイベントでも展開するかという点は課題です。
たとえば、イベントの途中や終わったあとにZoomで集まって、今日のセッションについて感想を軽く話し合える会を開いてみるなど、ワークショップのようなことを主催者がやっても面白いのかなと思います。

今回Jubliaを使うことで、3日間のイベントが4週間に広がりましたので、そういう形でイベント全体がこれからは膨らんでいくのかなという感じはします。
イベントに関わる会社としては正念場、まだコロナ禍の影響があるでしょうし、落ち着きを取り戻してからもイベントのやり方は変わってくると思います。出来る限り良いイベント体験を提供するために、共にいいものを作っていきたいなと思っています。

 

 

--- 柴山様にとってイベントとは?

重い荷物を背負って山道を登るが如し、という感じでしょうか。
弊社ではSUMシリーズとしていろいろなイベントをやっていますが、その中でも、大臣にご登壇いただくような非常に手応えのあるイベントを担当しておりますので、毎回毎回刺激がある非常に楽しいお祭りかな、と思います。

 



--- ご協力ありがとうございました。

 

編集後記

遠隔地からの参加など、オンラインイベントの特性やメリットを例に挙げておっしゃった
「これを始めた以上は、元には戻らないと思っています。」
という言葉が、とても印象的でした。

様々なツールや運用方法が模索され、新たなイベントの形が作られようとしていて、まさに今、イベントは革新期を迎えています。
主催者様からいただいたフィードバックやユーザー様からの声を元に、イベントレジストもイベントの進化と発展に貢献できるよう、機能のアップデートや改善を続けて参ります。