イベントレジストブログ|イベント運営のノウハウ満載!

[イベントレポート] ユーザーローカル マーケティングカンファレンス 2017 Data Driven Marketing Conference ~ビッグデータと人工知能時代のマーケティング戦略~

作成者: EventRegist|17/01/18 5:18

株式会社ユーザーローカル社主催、「ユーザーローカル マーケティングカンファレンス 2017 Data Driven Marketing Conference ~ビッグデータと人工知能時代のマーケティング戦略~」と題するカンファレンスが、2017年1月10日に御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで行われましたので、その様子をレポートします。


基調講演は、B.LEAGUE

オープニングの基調講演は、「B.LEAGUEが挑むスポーツビジネスの変革」と題し、2016年9月に開幕した男子プロバスケットボールB.LEAGUEとその事業戦略について、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ 理事・事務局長 葦原 一正氏が講演されました。

葦原氏は、2007年に「オリックス・バファローズ」、2012年には「横浜DeNAベイスターズ」に入社し、社長室長として、主に事業戦略立案、プロモーション関連などを担当したのちに、「公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ」に入社。男子プロバスケットボール新リーグ(B.LEAGUE)の立ち上げ参画されたという経歴をお持ちです。

バスケットボールというスポーツは世界で最も競技者人口数が多いスポーツであり、競技登録者数や観戦意向者数など国内でのポテンシャルも高く、男女共10~30代の若い世代はバスケへの観戦意欲が高いなど、大きなポテンシャルを秘めた競技。ところが実際の試合来場者数で見ると、野球の約2,200万人、それに続くサッカーは約900万人で、バスケットボールは約140万人。市場規模でいうとバスケットボールはサッカーの10%程度しかない、「観戦したい」「応援したい」という来場意向者数と、実際の入場者数の間には乖離があり、「デジタルマーケティングの徹底推進」と「代表、リーグ、クラブの権益の統合」の2つを推進していくことで、ビジネス・競技としての振興を高め、野球、サッカーに次ぐ、第3の人気プロスポーツにしていくビジョンを掲げているとのこと。


BREAK THE BORDERを組織が共有するスローガンにしていて、「前例を笑え、常識を壊せ、限界を超えろ」というメッセージの中、いままでにない新しい試みを実施しているとのこと。その中でも講演を伺っていて印象に残った点は、

1.データ重視のマーケティング
たとえば、既存のプレイガイドでのチケット販売にとらわれることなく、B.LEAGUEのプラットフォームの内で販売することにより、購入者の属性データを分析できること。将来的には、競技者のデータベースも統合していきたいと語られていました。

2.WEB、ソーシャルの力
開幕に向けたプロモーションはあらゆる媒体で広く薄く宣伝をするのではなく、広告予算含め、開幕戦自体をプロモーションの位置付けとし、公式戦として世界で初めて導入した全面LEDコートという、試合会場を全く新しいエンターティメントスペースに投資することにより、SNSでもBリーグに関する話題が溢れ、翌日の報道では、試合内容はもちろん、"魅せる演出"が話題となった。

その模様をまとめた動画がこちら>>https://www.bleague.jp/music/


その結果、試合終了後のソーシャルトレンドキーワードの多くがB.LEAGUE関連のワードで埋め尽くされ、試合終了後はチケット購入者が激増。わずか3時間で各クラブのチケット販売は従来の2倍の売れ行きを記録することができたということです。

あらゆる戦略で、過去のスポーツマーケティングの前例にとらわれることなく、デジタルやデータなど、科学的に分析、積極的に活用する施策を多くお話しいただき、現在急成長しているB.LEAGUEの今後がますます楽しみになる基調講演でした。

 


注目のメディアが揃い踏み

「マーケターが知っておくべきメディアエンゲージメントの深め方と活用の可能性」と題して、株式会社東洋経済新報社 / 東洋経済オンライン 編集長 山田 俊浩氏と、ザ・ハフィントンポスト日本版編集長 竹下隆一郎氏、そして株式会社エブリー 代表取締役 吉田 大成氏のパネルディスカッションが行われました。

山田氏は、現状WEB経済系の雑誌の中ではNo.1のユニーク読者数を誇り成長を続けている理由として、全記事の無料化と流行に踊らされることなく、実際の取材に基づいた信頼できるコンテンツの配信を実直に続けていることが大きな理由だと考えているとお話しされました。 東洋経済オンラインは、グループ各社のトラフィックドライバーになり、例えば関連書籍に関するニュースや記事を掲載することで、書籍の売上につながったり、有料メディアである週刊東洋経済プラスの会員獲得につながったりしているというシナジー効果、多方面で収益を上げるスキームを構築することが重要だとお話しされ、最後に、コンテンツ生産者としてだけではなく、プラットフォーマーとして他メディアとのコンテンツ交流などの構想も語られました。

竹下氏は、ハフィントンポストはグローバルで展開しているメディア(17ヵ国展開)のため、広告主もグローバル展開しているような企業にはとてもよいメディアであるとし、その例として、ユニクロ社との取り組みについての事例をお話しされました。広告記事としてではなく、紙面のカテゴリーをユニクロと共同で運営していくことで、たとえば、人種の多様性についての話であれば、新たにコンテンツを作成するだけでなく、過去の記事の中から多様性に関する記事を改めてピックアップしてフォーカスすることで、読者が興味を持つ、一つのカテゴリーを新たに立ち上げることができると語りました。

また、成長している理由としてソーシャルでの拡散はもちろん、リアルイベントを実施することで、コンテンツの生まれる場を作り、ユーザーとのエンゲージメントを図るサイクルがうまくいっているようだと語りました。

エブリー 吉田氏は、動画専門の新興メディアとして急速に成長している自社メディアの中でも特に成長著しい料理レシピメディア、DELISH KITCHENを例に、ユーザーのマイクロモーメントを的確にとらえてユーザ化することは、いままでの検索からの誘導ではなく、検索ワード(料理名など)を決める前のタイミングでレシピに接触していくのか?という新たな市場に挑戦し、成長していると語りました。


3名ともに共通するコメントとして、最近特にメディアのコンテンツの質が問われていると考えていることで、メディアの信頼性についてしっかり担保して行っていくことの大事さについて、さまざまな言葉で発信されていたのが印象的でした。

 


事例セッション

「最新版!2017年のソーシャルメディア活用と効果測定」と題して、株式会社ワコールでウェブ業務全般を担当する北見裕介氏をモデレーターに迎え、株式会社オプトでソーシャルメディアに特化したWebメディア「kakeru」編集長を務める三川夏代氏、ソーシャルアドに特化したプランナーとして活躍するトランスコスモス株式会社の原口英里子氏が登壇しました。

前半は、マーケテイングを提案する立場にある三川氏、原口氏、そして広告主である北見氏、3名それぞれが2016年にもっとも「これはやられた!」とうならされた企業のSNS施策を、各施策の効果測定結果の解説と共に紹介。各事例をこのレポートで詳しくご紹介することはできませんが、

・ユーザーに「体験」を提供している
・「体験」を通して商品やブランドを理解してもらう
・ユーザーコンテンツを利用している
・二次創作を誘うコンテンツを提供している

など、成功しているSNS施策の特徴が挙げられ、広告主側・パートナー側がそれぞれの立場から説得力のある解説が行われました。

後半は2017年のSNS施策をパートナーが予想。原口氏は「即時性のさらなる加速」が進むとして、チャットツールやライブ配信に関連した施策が増えると予想。三川氏は「残らない広告」に注目するとして、原口氏と同様にライブ配信の可能性と、SnapChatに代表されるメッセージが消えるSNS「エフェメラルSNS」をさらに活用する動きが強まると予測しました。

 



「シリコンバレーのデジタルマーケティング&データ解析最前線」

普段はシリコンバレーでアプリ向けApp Store SEO・競合アプリ分析ツールの会社SearchManを経営する柴田氏が、マーケッターが知っておくべきトレンドを5つのポイントで紹介しました。

  1. ウエブ vs アプリ について

スマホ利用者の利用「時間」86%がアプリ利用。一方利用者「数」はウエブが3倍。一見さんはWeb. 常連さんはアプリで接客。利用頻度が高くて利用時間が長いものはアプリがよい。

人を追いかけるマーケティングへ
デバイス単位でトラッキングできるようになった。スマホ時代、リタゲを制するものはマーケティングを制する。

Winner takes all.  
米国では、ネット広告費のなんと75%をFacebookとGoogleを独占している現状。精緻なユーザー情報を持っていることの重要性が伺える。

ファネル制すものがマーケティングを制する
マーケッターの仕事量が増し、 自社メディア、トラッキング、広告プラットフォームなど多様化する中で、いかに効率よく効果を上げることが重要になってくる。

エンジニア不足
解決方法は、自前主義からの脱却。餅は餅屋という考え方は、今後仕事量が拡大する中で不可欠。


柴田氏といえば、ウェブ業界ではNoteの柴田氏という形で知られているだけあって、その明快な語り口には、普段難しい事柄をわかりやすく文章にするスマートさを感じられる有意義なセッションでした。


これらのセッションだけでなく、数多くのセッションが行われた一日でしたが、データ活用の大事さ、今後ますます複雑化していくマーケッターの役割、それらをいかに効率的に様々な企業やツールを活用しながら、限られたリソースで対応していくのか?など多くの学びが実例とともに実感できる1日となりました。



*ユーザーローカル マーケティングカンファレンス 2017は、イベントレジストの来場登録システムをご利用いただいています。

http://event.userlocal.jp/

イベントをご検討のご担当者様で来場登録システムをご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。